なぜ女性管理職が増えないのか
皆さんは女性リーダーと聞いて誰を思い浮かべるでしょうか?
人口減少社会を迎え、「一億総活躍社会」の実現が必要とされる日本では「女性の活躍」が重要な戦略と位置づけられています。
この「女性の活躍」のひとつの目標として、国は2020年までに議員や企業の管理職など「指導的役割」に占める女性の割合を30%まで 引き上げるというものを掲げました。
しかしその目標は大きく引き下げられ、引き続き30%は目指すとした上で「課長相当職15%程度・部長相当職10%程度」と現実的な目標に修正されています。
引用元:男女共同参画推進連携会議 「2020年30%」の目標の実現に向けて
なぜ日本の女性管理職比率は伸び悩んでいるのでしょうか?
管理職に占める日本の女性の割合
労働政策研究・研修機構の国際労働比較2018によると、管理職に占める日本の女性の割合は12.9%で、大企業ほど低いという結果が出ています。
諸外国と比較しても、アメリカ(43.8%)、スウェーデン(39.3%)などの欧米諸国のほか、フィリピン(48.9%)シンガポール(35.2%)などのアジア諸国と比べても依然として低い水準にとどまっていることが分かります。
引用元:データブック国際労働比較2018
女性管理職が少ない(1割未満)企業の人事担当者にその理由を聞いた結果を示す資料(厚生労働省)では、「現時点では、必要な知識や経験判断力を有する女性がいない」とする企業が54.2%と最も多い結果が出ました。
「適任がいない」という理由の背景には、「管理職につくための在職年数を満たしていない」ことや「管理職になるまでに退職してしまう」ことがあげられます。
将来的な育成に向けた教育訓練の受講率を見ると、女性は男性より低く、特に35~39歳では男女の受講率に約2倍の開きがあることからも、女性のキャリアアップを視野に入れた研修はより早い段階で求められているのかもしれません。
キャリアアップを望まない女性
私が20代の頃、部下を厳しく管理する上司のもとで働く機会がありました。
上司が部下の行動ひとつひとつに細かく指示を出し、思い通りに動かないと強く叱責する女性でした。
そんな環境にやがて部下は主体的に動く力を失い、上司の顔色を見ながら「怒られないように」働くようになっていきました。
そんな中、ある日彼女がぼそっと言いました。
「部下に嫌われて一人前。管理職なんて、つまらない仕事」
寂しそうにそうつぶやいた上司の姿が、今でも忘れられません。
彼女が大切にしていたことは、管理職である自分は部下に厳しくあるべきで、常に一定の距離を保ち、上司は部下に嫌われてこそ一人前であるということ。
沢山の「すべき」と戦っていた彼女は、その後管理職のポジションを降りました。
企業で働く女性の中にはキャリアアップを望まない人が少なくありません。
私も企業に勤めていた頃、多くの女性からキャリアアップに対する不安を聞く機会がありました。
・仕事とプライベート(家庭)の両立が難しい
・責任が重くなるのは避けたい
・先輩や同僚との関係性が変わることが不安
彼女達は働きながら、日々様々な思いと向き合っています。
女性は時にライフステージに合わせ柔軟な働き方が求められます。
キャリアアップを目指したいと思える環境を提供するためには、早い段階で自身のキャリアプランについて向き合う機会を設けること。
そして管理職として働く女性のロールモデルの存在や、リーダーシップ・マネジメントについて学ぶ機会が必要なのかもしれません。
あなたは自身のキャリアプランについてどう考えていますか?
この記事の著者
林友香