マタニティーハラスメントとコーチング

マタニティーハラスメントとコーチング

最近は、ハラスメントに敏感な時代になり、ハラスメントに関する研修の依頼を受けることもあります。
ハラスメントといっても、種類分けすると無数にあるらしいですが、今日はマタニティーハラスメントの話です。

マタニティーハラスメントとは

マタニティーハラスメントとは、妊娠、出産、子育てなどをきっかけとして嫌がらせや不利益な扱いを受けることです。

厚生労働省では、マタハラ(マタニティーハラスメント)を以下のように定義しています。
妊娠、出産、子育てを理由とした嫌がらせや不利益な取り扱い(降格・解雇・雇い止めなど)は法律によって禁止されています。

妊娠・出産等に関するハラスメントとは
「職場」※1において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関る言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」※2や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」※2等の就業環境が害されることです。
 
※1 「職場」…通常就業している場所以外でも、出張先や参加が強制されている宴会なども含みます。
※2 「労働者」とは…正社員だけではなく、パートタイム労働者、契約社員、派遣労働者等を含みます(派遣労働者については、派遣元、派遣先ともに妊娠・出産等に関するハラスメントやセクシュアルハラスメントの防止措置を講じる必要があります)。
 
引用元:厚生労働省|職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!

 

会社は労働者から、育児休業の取得を申請された際、正当事由が限り拒否することはできません。
産前産後休暇、育児休暇の取得の後すぐに不利益な取り扱いを受けた場合もマタハラと認定される場合があります。

厚生労働省が2015年に行った調査によると、マタハラを経験した女性の4割以上は「迷惑」「辞めたら?」などの発言を受けていたことがわかります。


引用元:厚生労働省|妊娠等を理由とする不利益取扱い(※)に関する調査の概要

上記の調査からもわかるように、解雇や、降格などの具体的な対応をはるかに上回り、「発言」などのコミュニケーションの部分でハラスメントを感じた方も多いようです。

企業内の制度を整備することと同時に、リーダーや、従業員の意識の改善、コミュニケーションの見直しもハラスメント対策を行う上で、重要なのかもしれません。

「敬意」を払ったコミュニケーション

リーダーは、妊娠、出産、子育て、介護など、様々なライフイベントを経験するメンバーとともに、コミュニケーションをとりながら、社内のチーム力を高めていかなければなりません。

私自身は、企業の60年という歴史の中で、前職の職種で、初めて産休をとったので、上司は過保護ともいえるほど、私のことを考えてくれたように感じます。

ただ、人によっては、朝方、体調が悪い、夜勤をすると、調子が悪くなる、など時間帯によっても人それぞれな場合があり、シフト勤務に関しても、勤務そのものに関しても、一概に妊婦だから・・・の、対応ができないのが難しいところ。

そんななか、少しでも寄り添ってもらったり、話を聴き、自分のことを考えてもらった、と感じるだけで、当事者は、ハラスメントに感じない場面も多々あるように感じます。

 

 

マタハラに限らず、ハラスメントを感じるコミュニケーションに通づるものは「敬意」の無さにあります。

「個」を、組織を構成するパーツとして関わるのではなく「個」に関心を持ち、尊重した関わりが「敬意」をもったコミュニケーションのスタートとなり、ハラスメントに対する根本的な対策の一つになるのではないでしょうか。コーチングは「1対1」の関わりを基本としていることもあり、ハラスメント対策にもマッチし、近年ハラスメント対策に特化したコーチング研修も非常に多くなっているところです。
 
また、上記のとおり「敬意」は、相手への関心の中から生まれるものではありますが、「敬意」を持ったコミュニケーションのためには、リーダー自身のあり方も大切になります。個々と関わりを持つというような外側のテクニックに頼るだけでは、当然のことながら「敬意」は生まれません。

リーダー自身に、相手に敬意をもつ余裕や工夫はありますか?

外側のみではなく、リーダーの内側のコミュニケーションを整えることも、同時に重要なことであると感じています。
 

妊婦だけでなく、子育てや介護など、ワークとライフが切り離せなくなった今だからこそ、チーム力を今よりも発揮するために、自分自身とのコミュニケーション、また相手とのコミュニケーションを学び、改めて「敬意」に注目したコミュニケーションを考える時代ともいえるのではないでしょうか。

 

この記事の著者
白崎あゆみ