働き方改革の理想と現実
「働き方改革」は、一億総活躍社会に向けた、国の最大のチャレンジです。
そのために、大企業も中小企業も人材育成や、ワークライフバランス、ダイバーシティなどに取り組んでいるわけですが、厚生労働省の調査によると、能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は、なんと75.4%となっています。
では、どんな問題があるのでしょうか?
- 「指導する人材が不足している」54.2%
- 「人材育成を行う時間がない」49.5%
- 「人材を育成しても辞めてしまう」47.8%
引用元:厚生労働省 平成29年度「能力開発基本調査」より
なるほど。。
人材育成と言ったところで、その人材がいないというわけだ。
以前、バブル期に流行った「24時間戦えますか?」や「5時から男」のキャッチフレーズを作った会社などで、働き方改革が議論されているのも事実。
もう昔とは違う。
日本は深刻な状況なのです。
子育て社員が求めることと、会社の求めることのギャップ
少子高齢化の中で、人材確保に必要なのが、やはり女性の活躍でしょう。
女性活躍推進法により、すこしずつ定着してきた言葉ですが、働きながらも、出産を推進しないと少子化対策にはならない。
以前、働く子育てママへワークライフバランスをヒアリングしたところ、
「育児休暇などの改善はあるが、実際のところ子育てと仕事の両立は不安」
「急なお迎えなど、会社や同僚への罪悪感と、子どもとの時間が減ることに罪悪感がある」
「産休、育休復帰後に馴染めるか不安」
などの声がありました。
一方、企業面談で女性活躍推進をヒアリングすると、
「会社内でアンケートなどをとったはいいが、そのあと何をすればいいかわからない」
「女性活躍推進で、女性や子育て社員ばかり優遇されて、実は他社員から不満が出ている」
「子育て社員の不安や気持ちが良くわからないので、どうサポートすればいいかわからない」
など、表向きは動いているようで、その先の課題はいろいろあるようでした。
子育て社員が求めることと、会社の求めることに、ギャップがあるわけです。
心理的安全性を目指す
今、このギャップを埋める研修の一つとして注目されているのが、「ペアレンツコーチング研修」です。
子どもとの短い時間の中でも質の高いコミュニケーションをすることが目的の研修です。
そう、内容は業務外の研修。
ですが、部下育成やマネジメントにも繋がりますね!という感想があるのも事実です。
業務研修でないのにも関わらず、子育て真っ最中の社員はもちろん、子育てを卒業した方、独身の方、男性社員まで受講する理由は、このギャップを埋めるために、もしかしたら、業務研修よりも必要な「心理的安全性」を目指せる基本だから、なのかもしれません。
この記事の著者
川越くみ